前立腺は膀胱のすぐ下で、尿道の周りにある栗の実ほどの大きさの臓器です。通常10~20mlの容積と言われており、精液の成分である前立腺液を分泌しています。
前立腺肥大症は内腺と呼ばれる内側の尿道に近い部分が肥大化する病気です。50歳以上で増え、60歳台では5割以上、70歳台では約7割で罹患しているといわれています。
主な症状は、尿回数の増加、夜間に何度も排尿に行く、尿が出にくい、勢いがない、排尿に時間がかかる、きれが悪い、残尿感がある、我慢ができない、もらしてしまうなどです。さらに進行すると、尿閉(尿が出ない)、血尿、結石、細菌感染や腎機能障害をきたすこともあります。前立腺肥大症はまず薬物治療を行います。
しかし治療効果が不十分な場合がありそのような場合は外科的治療を行う場合があります。
泌尿器科Urology
前立腺肥大症
過活動膀胱(OAB)
過活動膀胱(OAB)は、尿意切迫感(急に起こる、抑えられないような強い尿意で、我慢する事が困難な状態)を必須とした症状症候群であり、通常は頻尿(日中8回以上)と夜間頻尿(夜間1回以上)を伴うものです。切迫性尿失禁(おしっこの漏れ)は伴う場合と伴わない場合があります。40歳以上の人の12.4%であるといわれており、50歳以上では男性に多くみられます。
原因は神経因性(脳血管障害や脊髄の障害など)と非神経因性(前立腺肥大症、加齢、骨盤底筋が弱くなること)のものがありますが、原因のわからない特発性のものが一番多いようです。
診断に際しては同様の症状を持つ泌尿器科疾患との鑑別(膀胱癌、前立腺癌、尿路感染症など)が重要です。
治療は内服治療が一般的で最近では副作用の少ない新しい薬も処方されています。男性で前立腺肥大症がある方は、まずそちらの治療を優先していきます。
前立腺癌
前立腺癌はアメリカの男性の中で2番目に死亡数が多いがんです。日本においては、男性のがんの中で死亡数は9番目ですが徐々に増加しており2020年には肺がんに次いで罹患数の第2位になると予測されています。
前立腺癌は、早期では全く症状を伴いません。しかし、癌が進行すると大きくなって尿道を圧迫するようになり、膀胱からの尿の流出を妨げます。この段階で、多くの人は頻尿になりますが、尿が出にくくなったり、時に痛みを伴うこともあります。
50歳以上の男性は前立腺癌を早期に発見するためにPSA検査と直腸診を毎年受けることをお勧めします。そうすることで根治できる早期の段階で前立腺癌を発見することが可能になります。PSAが0~4の間にあればひとまず安心ですが、PSAが4を超えた場合は、泌尿器科専門医による診察が必要となります。採血のみでもある程度診断は可能ですが、採血のみではなく超音波検査、直腸診を行なったほうが診断の確率は上がります。
これらの検査により前立腺癌の疑いが否定できない場合は、前立腺の組織検査が必要になります。当院では日帰りで前立腺組織検査を行っています。
前立腺癌の治療には、「根治的前立腺全摘除術(開腹手術・腹腔鏡手術・ロボット支援下手術)」、「放射線療法」、「内分泌療法(ホルモン療法)」など、さまざまな治療法があります。
これらの治療法は患者さんの年齢、全身状態、がんの病期や悪性度などをよく見極め、患者さんやご家族ともよく相談しながら、治療方針を立てていきます。
膀胱癌
膀胱癌の患者さんは年々増加の傾向にあり、男女比では女性より男性に多く、女性の約3倍多いといわれています。多くは50歳以上に発生しますが、若年者にもときにみられます。
その発生機序についてはまだ十分にはわかっていませんが、最近遺伝子レベルでの変化が明らかにされつつあります。
危険因子として、喫煙があげられ、喫煙者は非喫煙者に比べて4倍程度発生率が高いといわれています。また芳香族アミンなどの染料と膀胱癌との関係も深く、このような化学物質を扱う職業の人に好発することが有ります。
初期症状として多くみられるのは血尿です。肉眼で確認できる血尿(肉眼的血尿)のこともあれば、顕微鏡ではじめて確認できる程度の血尿(顕微鏡的血尿)のこともあります。血尿は痛みなどを伴わない場合が多く、初期では突然出現し、自然に消失します。
腫瘍が進行してくると、頻尿、排尿痛、残尿感などの自覚症状を伴ってきます。
診断はエコー検査や膀胱内の内視鏡検査で行っていきます。早期のものであれば内視鏡手術での治療が可能であり、このような患者さんに対して当院では日帰りで手術を行っております。
腎癌
腎臓は、左右1個ずつある臓器で、背骨の両側で腰の高さに位置しています。腎臓では、血液によって運ばれてきた体内の老廃物が濾過され、不必要なものが尿として排泄されます。
腎癌は、小さいうちはあまり症状がないため、 以前は早期発見が難しく、大きくなって、血尿がでたり、痛みがでたり、患者さん自身がお腹の腫瘤に気づくまで 発見できませんでした。
しかし、最近では人間ドックでの超音波検査の普及や、他の病気でCTがとられる機会が増え、 小さい段階で見つかるようになってきました。
腎癌の治療には様々な新しい治療が導入されてきており、治療法に関してのご相談などあればお申し出ください。
尿路結石症
尿路結石には腎結石、尿管結石、膀胱結石などがあります。日本人の場合、95%以上は腎または尿管の結石です。
結石が腎臓にある場合には症状がないことも多いですが、結石が腎から尿管に下降すると疝痛発作という激烈な痛みを生じます。この痛みは腰背部、側腹部、下腹部などに広がり、しばしば吐き気を伴います。また、このような場合には血尿が出ることもしばしばあります。
診断は尿検査、レントゲン検査、超音波検査などにて行っていき、結石の位置、大きさなどにより治療法を決めていきます。
結石の長径が8mm以下の場合は自然排石が期待できるため水分摂取(1日尿量2,000ml以上)、運動、排石促進薬などにて経過をみていきます。それ以上の大きさの結石や排石が困難な場合は近隣の施設を紹介しESWL(対外衝撃波砕石術)や内視鏡的結石破砕術を行います。
性感染症
性行為によりうつされる(sexually transmitted)疾患を「性感染症」(sexually transmitted disease:STD)と呼びます。
淋菌感染症
淋菌性尿道炎では、感染機会から2~7日以内に激烈な排尿痛と外尿道口から黄色い排膿をみとめます。
診断は淋菌を検出する事ですが、その方法としては顕微鏡での淋菌確認、分離培養法、PCR法などがあります。
近年、淋菌は抗菌薬に対する耐性化が問題となっており、専門医による正しい治療が必要です。
クラミジア尿道炎
男性クラミジア性尿道炎は、感染後1~3週間で発症するとされます。
淋菌性尿道炎と比較して痛みなどの症状は軽い場合が多く、分泌物も色は薄く比較的にサラサラとしています。診断は主にPCR法で行われます。内服治療が一般的です。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス、HPV)の感染により、性器周辺に生じる腫瘍です。
ヒトパピローマウイルスは80種類以上が知られていますが、尖圭コンジローマの原因となるのは主にHPV 6型とHPV 11型です。
感染後、数週間から2~3ヶ月を経て、陰茎亀頭、冠状溝、包皮、大小陰唇、肛門周囲等の性器周辺部に、イボ状の小腫瘍が多発します。腫瘍は、先の尖った乳頭状の腫瘤が集簇した独特の形をしており、乳頭状、鶏冠状、花キャベツ状等と形容されます。
治療には、塗り薬による治療と外科的治療があります。
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